水木しげると安部公房の接点は… ― 2015年12月27日
私は調布市に住んでいる。先日配布された市報は「水木しげるさん追悼臨時号」だった。調布市の名誉市民だったので当然の扱いだ。水木しげるファンの私は少しうれしくなった。
市報の追悼臨時号を眺めながら、そういえば約20年前に亡くなった安部公房も調布市在住だったなあと思い出した。おそらく安部公房は名誉市民ではなく追悼臨時号なども出なかったのではと思いつつ、水木しげると安部公房が私と同じ調布の住人だったことにあらためて気づいた。それは私にとって軽い衝撃だった。
50年近く昔の学生時代、私は安部公房ファンで水木しげるのマンガも好んで読んでいた。しかし、頭の中でこの二人を結びつけて考えることはなかった。そんなとき、自分の書いた短篇小説を著名な助教授に読んでもらう機会があった。「安部公房的というか…ゲゲゲの鬼太郎風かな」と評され、おのれの無意識が見透かされたと思いドキッとした(このことは以前にも当ブログに書いた)。
それ以来、自分が安部公房と水木しげるから少なからぬ影響を受けていることを意識はしていた。しかし、この二人と私に調布市在住という共通点があることには気づいていなかった。私が調布市民になったのは30年ほど前で、学生時代には調布市とは無縁だったということはある。とは言っても、安部公房が桐朋学園に近い仙川在住だったことや水木しげるの住居が西調布あたりで、その作品にしばしば調布が登場することには以前から気づいていた。さらに言えば、調布市の文化会館にある小さな無料の展示場で安部公房の展示や水木しげるの展示があり、その両方を私は見ている。にもかかわらず、この二人を調布市在住という共通点で観たことはなかった…というか気づきもしなかった。
同じ市に住んでいることにさほどの意味はないとしても、依然として私の頭の中に占める安部公房と水木しげるの位置はかなり離れた別次元の場所のようだ(同じ調布市でも住居は東端と西端でかなり離れている)。そのことを自覚したうえで、あらためて安部公房と水木しげるに何か共通するものはあるだろうかと考えてみた。安部公房の初期の寓話的短篇小説と水木しげるの短篇マンガには似た雰囲気のものがあるようにも思える。
そんなことを考えているうちに、水木しげるの『地底の足音』という貸本漫画の記憶が甦ってきた。50年近く前、私はこの貸本漫画を古本屋で入手して読んだ。『砂の女』を連想させる話だったような気がして数十年ぶりに再読した。鳥取砂丘を舞台にした奇怪な妖怪漫画だが冒頭シーンは『砂の女』そのものだ。安部公房と水木しげるの接点を記憶の底に発見した気分になり、自分勝手に小さな安堵を得た。
市報の追悼臨時号を眺めながら、そういえば約20年前に亡くなった安部公房も調布市在住だったなあと思い出した。おそらく安部公房は名誉市民ではなく追悼臨時号なども出なかったのではと思いつつ、水木しげると安部公房が私と同じ調布の住人だったことにあらためて気づいた。それは私にとって軽い衝撃だった。
50年近く昔の学生時代、私は安部公房ファンで水木しげるのマンガも好んで読んでいた。しかし、頭の中でこの二人を結びつけて考えることはなかった。そんなとき、自分の書いた短篇小説を著名な助教授に読んでもらう機会があった。「安部公房的というか…ゲゲゲの鬼太郎風かな」と評され、おのれの無意識が見透かされたと思いドキッとした(このことは以前にも当ブログに書いた)。
それ以来、自分が安部公房と水木しげるから少なからぬ影響を受けていることを意識はしていた。しかし、この二人と私に調布市在住という共通点があることには気づいていなかった。私が調布市民になったのは30年ほど前で、学生時代には調布市とは無縁だったということはある。とは言っても、安部公房が桐朋学園に近い仙川在住だったことや水木しげるの住居が西調布あたりで、その作品にしばしば調布が登場することには以前から気づいていた。さらに言えば、調布市の文化会館にある小さな無料の展示場で安部公房の展示や水木しげるの展示があり、その両方を私は見ている。にもかかわらず、この二人を調布市在住という共通点で観たことはなかった…というか気づきもしなかった。
同じ市に住んでいることにさほどの意味はないとしても、依然として私の頭の中に占める安部公房と水木しげるの位置はかなり離れた別次元の場所のようだ(同じ調布市でも住居は東端と西端でかなり離れている)。そのことを自覚したうえで、あらためて安部公房と水木しげるに何か共通するものはあるだろうかと考えてみた。安部公房の初期の寓話的短篇小説と水木しげるの短篇マンガには似た雰囲気のものがあるようにも思える。
そんなことを考えているうちに、水木しげるの『地底の足音』という貸本漫画の記憶が甦ってきた。50年近く前、私はこの貸本漫画を古本屋で入手して読んだ。『砂の女』を連想させる話だったような気がして数十年ぶりに再読した。鳥取砂丘を舞台にした奇怪な妖怪漫画だが冒頭シーンは『砂の女』そのものだ。安部公房と水木しげるの接点を記憶の底に発見した気分になり、自分勝手に小さな安堵を得た。
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