「ボーン・アルティメイタム」--- 緩慢な記憶喪失2007年11月20日

 テレビ放映された「ボーン・スプレマシー」を見たのが引き金で、映画館で続編「ボーン・アルティメイタム」を見た。シリーズ3作目だそうだ。1作目の「ボーン・アイデンティティ」は見ていないが、2作目で1作目の概要は分かる。
 「アルティメイタム」はテンポのいいノンストップ・ハラハラ・ドキドキで観客を飽きさせない。舞台もモスクワから始まり、トリノ、パリ、ロンドン、マドリード、タンジール(モロッコ)、ニューヨークと目まぐるしく変わり、世界観光も楽しめる。面白い映画だ。

 このシリーズ、記憶喪失の元CIAが、わけも分からずCIAなどに追いまわされながら記憶回復を求めていく話である。2作目、3作目を見た後、この話はどこかで読んだことがあるような気がしたが、このテのストーリーはよくあるパターンだと、あまり気に留めなかった。
 で、ネットを検索をしていて、この映画の原作がラドラムの「暗殺者」「殺戮のオデッセイ」だと知った。昔、夢中になって読んだ印象深いアクション小説だったにもかかわらず失念していた。映画を見ても気付かず、その後に得た情報によって記憶が甦ってきて、小説の印象と映画の印象が重なった。本棚の奥から「暗殺者」を探し出してきてパラパラとめくってみると、主人公の名もボーンだった。この体験、まさにこのお話の主人公の体験に重なるではないか。

 私たちは、ボーンのような特異な体験をしなくても常に緩慢な記憶喪失に見舞われている。年を経ると、それがよく分かってくる。昔のメモや日記に出てくる個人名が誰なのかさっぱり思い出せないことや、記憶と事実の食い違いに驚くこともよくある。
 記憶とはそいういうものだと割り切って、記憶喪失を遡る〈日常生活の冒険〉に出発できると考えれば、ボーンのようなノンストップ・アクションはないとしても、人生が楽しくなるかもしれない。

 私は、このシリーズ第1作「ボーン・アイデンティティ」を見ていないが、本当は見ていて、忘れているだけかもしれない・・・・そんな気もしてきた。それくらい記憶は頼りにならない。

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