『江戸時代の思い出』は破天荒なナンセンスコメディ ― 2024年07月11日
本多劇場でナイロン100℃ 49th SESSION『江戸時代の思い出』(作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ、出演:三宅弘城、みのすけ、犬山イヌコ、峯村リエ、大倉孝二、池田成志、坂井真紀、奥菜恵、山西惇、他)を観た。ナンセンスコメディである。
上演時間3時間15分(休憩15分を含む)、破天荒な展開にあっけに取られたまま、退屈することなく笑えた。ナンセンスコメディと不条理劇に違いがあるか否か、私にはよくわからないが、不条理ともデタラメとも言える展開とギャグを十分に楽しめた。
舞台は人通りの少なそうな街道である。下手に茶店があり縁台が出ている。上手には塚のような小山がある。いかにも江戸時代っぽい設定だ。通りがかった侍を変な町人が呼び止め、思い出話を聞かせようとする。武士は急いでいるといやがるが、町人は無理やりに話を始める。その思い出話はなぜか過去から現在を突き抜けて未来におよび、舞台上手の塚の周辺には未来人(要は現代人)が思い出話の登場人物として出現する。
――という導入だが、このテの芝居の内容を文章で脈絡をつけて紹介しようとするた、異質なものになってしまいそうだ。脈絡を超えた展開の芝居だから、文章による内容を伝えるのは難しい。
この芝居には飢饉による人食いの話が出てくる。食人を扱った芝居は、ブラックユーモアか深刻な話になりがちだが、『江戸時代の思い出』の食人茶店は明るく乾いている。「食人は駄目という倫理観」と「飢饉における食人は仕方ない」を何の葛藤もなく両立させている。ナンセンスコメディである。
疫病で斑点だらけの人物や顔面が尻の姿で尺八を奏でる侍から救世主まで登場する。なぜか客席の男女までが登場人物になる。この芝居を観ながら、ナンセンスコメディを成立させるには、ある種の強烈なパワーが必要なのだと感じた。それは、芝居全般に言えることではあるが…。
上演時間3時間15分(休憩15分を含む)、破天荒な展開にあっけに取られたまま、退屈することなく笑えた。ナンセンスコメディと不条理劇に違いがあるか否か、私にはよくわからないが、不条理ともデタラメとも言える展開とギャグを十分に楽しめた。
舞台は人通りの少なそうな街道である。下手に茶店があり縁台が出ている。上手には塚のような小山がある。いかにも江戸時代っぽい設定だ。通りがかった侍を変な町人が呼び止め、思い出話を聞かせようとする。武士は急いでいるといやがるが、町人は無理やりに話を始める。その思い出話はなぜか過去から現在を突き抜けて未来におよび、舞台上手の塚の周辺には未来人(要は現代人)が思い出話の登場人物として出現する。
――という導入だが、このテの芝居の内容を文章で脈絡をつけて紹介しようとするた、異質なものになってしまいそうだ。脈絡を超えた展開の芝居だから、文章による内容を伝えるのは難しい。
この芝居には飢饉による人食いの話が出てくる。食人を扱った芝居は、ブラックユーモアか深刻な話になりがちだが、『江戸時代の思い出』の食人茶店は明るく乾いている。「食人は駄目という倫理観」と「飢饉における食人は仕方ない」を何の葛藤もなく両立させている。ナンセンスコメディである。
疫病で斑点だらけの人物や顔面が尻の姿で尺八を奏でる侍から救世主まで登場する。なぜか客席の男女までが登場人物になる。この芝居を観ながら、ナンセンスコメディを成立させるには、ある種の強烈なパワーが必要なのだと感じた。それは、芝居全般に言えることではあるが…。
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