つかこうへい『初級革命講座飛龍伝』の熱量に圧倒された2024年05月31日

 下北沢OFF・OFFシアターで『初級革命講座飛龍伝』(作:つかこうへい、演出:マキノノゾミ、出演:武田義晴、吉田智則、木下智恵)を観た。

 この芝居を観ようと思ったきっかけは、先日観た『象』(作:別役実)である。あの芝居のチラシに、つかこうへいの「『初級化革命講座飛龍伝』は、『象』の盗作だし…」という言葉が載っていた。私は数十年前に『飛龍伝』の戯曲を読んだ記憶があり、4年前には『飛龍伝2020』を観ている。しかし、『象』との類似に気づかなかった。

 たまたま、下北沢で『初級革命講座飛龍伝』を上演していると知り、『象』の影響を確認したくなり、チケットを手配した。

 『象』の観劇から10日ほど後に『初級革命講座飛龍伝』を観て、つかこうへいが「盗作」と述べた理由を了解した。確かに『象』の設定を借用したシーンがある。もちろん、別役ワールドとつかワールドはかなり異なる。

 今回の観劇で驚いたのは、4年前に観た『飛龍伝2020』とはほとんど別の芝居だったことである。つかこうへいが一つのモチーフの改訂を続けていたことは承知していたが、何となく同じ話だと思っていたのだ。私が昔読んだ戯曲は、いま手元にないので確認できないが、『初級革命講座飛龍伝』とも『飛龍伝2020』とも異なっていた気がする。

 ネット検索で調べてみた。『初級革命講座飛龍伝』の初演は1973年で、その後改稿をくり返しながら何度も上演し、2010年の『飛龍伝2010』公演から数カ月後、つかこうへいは肺がんで帰らぬ人になった。私が観た『飛龍伝2020』は没後10年の上演だから、さらに改訂されていたのかもしれない。

 今回観た『初級革命講座飛龍伝』は、おそらく最も初期のバージョンだと思う。4 年前の『飛龍伝2020』よりも面白かった。パロディを超えた破天荒な熱量を感じた。