落語をダンスと歌で演じる『あたま山』2022年04月23日

 三鷹市芸術文化センター「星のホール」でCHAiroiPLIN(チャイロイプリン)の公演『おどる落語 あたま山』(振付・構成・演出:スズキ拓朗)を観た。あの珍妙でトポロジーSF的な落語がどんな舞台になるだろうと興味がわき、チケットを手配した。

 スズキ拓朗という振付家・演出家・ダンサーは、数カ月前に観た『不思議の国のアリス』で初めて知ったが、あの舞台の振付・演出が面白かったのも、今回の観劇の動機のひとつだ。

 あたま山は短い落語である。サクランボの種を食べて頭に桜が生えた男が、頭上の花見客に怒って桜を抜き、その跡の頭上の穴に雨水が溜まってできた池に身投げするというナンセンスな話だ。私は本で読んだだけで実際の落語を聞いた記憶はない。

 CHAiroiPLIN(チャイロイプリン)はスズキ拓朗が主宰するダンスカンパニーで、今回の『あたま山』はキレのあるダンスと歌がメインのややメルヘン調の舞台だった。十数人の登場人物たちのダンスを楽しみ、その身体能力に感服した。「トイレの神様」や「傘がない」などの歌謡もダンスとともに披露される。

 ダンスがメインと言っても、あの短い落語を70分の舞台に乗せるのだからいろいろ話をふくらませている。主人公がケチということに着目し、何でもかんでも集めてくるゴミ屋敷の主に設定しているのが面白い。この公演は、開演前と終演後の舞台撮影がOKで、その舞台は主が収集したガラクタで埋められている。開演前には平面にバラ撒かれていたガラクタが終演時には見事な三角形に山積みされているのには驚いた。楽しい舞台である。

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