聖林寺十一面観音には迫力があった2021年08月13日

 トーハク(東京国立博物館)で開催中の二つの特別展『聖林寺十一面観音』と『聖徳太子と法隆寺』を観てきた。目当ては『聖林寺十一面観音』だが、せっかく上野まで行くならと『聖徳太子と法隆寺』も観た。

 現在、コロナの影響でトーハクは完全予約制になっていて、気が向いたときに立ち寄るというわけにはいかない。事前に入館日時を明記した前売券をネットで購入した。『聖林寺…』は11時入館、『聖徳太子…』は12時30分入館の前売券である。まるで演劇のチケットだ。

 完全予約制のおかげで会場はさほど混んでなく、余裕をもって鑑賞できた。多少面倒ではあるが、長い行列で待たされて満員電車のような会場で観るよりは、はるかに快適である。コロナが終わってもこの方式を継続すればいいと思う。入場者数が激減しそうだから難しいか……。

 聖林寺十一面観音を観るのは初めてである。8世紀天平美術の傑作とされている仏像は確かに魅力的だった。造形もさりながら由来も興味深い。神仏習合の時代、三輪山を拝する日本最古の神社で千年以上敬われてきた観音像が、明治維新の神仏分離という野蛮な政策によって近隣の聖林寺に移されたそうだ。破壊を免れたのが何よりである。

 私は仏像に関する知識は乏しく、さほどの関心があるわけではない。それでも、展示会場の中央に屹立する十一面観音の回りゆっくり巡りながらその姿を見上げていると、静かな迫力が伝わってきた。千年を超える時間の重みを感じた。

 トーハクを出るとき、ふと思い出した。この博物館に初めて来たのは57年前、前回の東京五輪の1964年、高校生のときだった。オリンピック連動の特別展で教科書に載っている有名なアレコレを観た気がする。今回の特別展も五輪絡みのようだ。半世紀以上経っても似たような行動をする自分に呆れる。

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