劇団青い鳥の『普通の人々』を観て「ゴス・ロリ」を知った2021年02月12日

 下北沢の「劇」小劇場で劇団青い鳥の公演『普通の人々』(作:天衣織女、演出:芹川藍、出演:天衣織女、天光眞弓、葛西佐紀)を観た。劇場に足を運ぶのは昨年8月の『大地 Social distancing Version』(パルコ劇場)以来である。

 今回の『普通の人々』は昨年3月に予定していたのを11カ月延期した公演である。昨年は多くの芝居が中止になり、私も何枚かのチケットの払い戻し手続きをした。昨年3月の『普通の人々』は中止ではなく延期にするとの連絡があり、払い戻し手続きをせず、約1年ぶりに無事観劇できた。

 女性だけの劇団青い鳥の舞台は何度か観てきた。日常のちょっと先にある不思議世界を垣間見せる舞台が多かったように思う。『普通の人々』は短編集のような作品で、プロローグ+5話で構成されている。各編の登場人物は二人、3人の女優が入れ替わり立ち替わり役柄を変え、衣装とメイクも即興で変え、切れ目なく5つの世界を紡いでいく。最終話のラスト部分では登場人物が3人になり、そのままカーテンコールとなる。

 私には第1話の『ゴス・ロリに祈る』と第2話の『サラサラ』が面白かった。

 ゴス・ロリという言葉をこの作品で初めて知った。「ゴシック&ロリータ」の略で、怖くてかわいいストリート・ファッションだそうだ。『ゴス・ロリに祈る』は、中年男が老いた父親の交際相手の女性を喫茶店に呼び出して会話を交わす。その女性が黒衣のゴス・ロリで現れる。会話のおかしな展開が面白い。

 『サラサラ』は関係が冷えた老夫婦によるブラック・コメディ会話劇で、女性の怖さと強さが浮かび上がる。