「スキタイと匈奴」をブックレットで復習2020年10月09日

『遊牧国家の誕生』(林俊雄/世界史リブレット/山川出版社)
 都心の大型書店で歴史書コーナーに並んでいる山川の世界史リブレットの背表紙を眺めていて、先日読んだ 『スキタイと匈奴 遊牧の文明』(講談社学術文庫) の著者・林俊雄氏の次の本を見つけた。

 『遊牧国家の誕生』(林俊雄/世界史リブレット/山川出版社)

 読了したばかりの学術文庫の内容を反芻・定着させるのにいいと思い、この薄いブックレットを読んだ。これは、まさに 『スキタイと匈奴 遊牧の文明』 のダイジェスト版で、構成もほぼ同じ、既視感のある表現が随所にあった。おかげで、いい復習にはなった。読む順番としては、ブックレットを読んでから学術文庫版を読む方が楽しめたと思う。

 スキタイと匈奴を扱った本書のタイトルは『遊牧国家の誕生』だから、著者はスキタイと匈奴を遊牧国家の始まりと見なしている。部族が離合集散していた騎馬遊牧民の集団が「国家」と見なせる状態になった根拠は何か。

 著者は、その根拠として匈奴については「漢との対等の外交関係」「流入した漢人を主にした官僚層の存在」「租税徴収制の存在」「法律・裁判制度の存在」「経済・防衛政策に国家的意思が看取できる」「漢との境界線が相互に意識されていた」などをあげている。

 スキタイに関しては史料が乏しく「国家」という言葉は使わず「スキタイ時代は草原の古墳時代と呼ぶことができよう」と述べ、巨大古墳が発掘されていることから強力な王権が存在したとみなしている。

 草原地帯の「遊牧国家」には機動性があり、急速に巨大化することもあれば分裂してバラバラになることもあった。定着民の国家に比べてダイナミックである。