訪問予定のアク・ベシム遺跡の予習をした ― 2026年06月20日
来月予定しているカザフ・キルギス旅行で、私の目当ての一つはアク・ベシム遺跡である。その予習として次の本を読んだ。
『アク・ベシム遺跡を掘る』(山内和也・齋藤茂雄編/勉誠社/2025.4)
キルギスのアク・ベシムは旧ソ連時代に発掘された遺跡だ。2016年からは帝京大学がキルギス科学アカデミーと共同で発掘調査を進めている。発掘調査の中心人物である帝京大学文化財研究所所長の山内和也教授らが編んだ本書は、論文・コラム二十数編を収録している。
アク・ベシム遺跡に関しては、先月(2026.5.16)の日経新聞社会面に「唐・武則天時代の寺か キリギスで階段見つかる」というニュースが載っていた。アク・ベシム遺跡にある寺院跡が、武則天が各地に建てた大雲寺と推測されていることは、本書収録のいくつかの論文が言及している。記事の眼目は階段の発見であり、山内教授は「この発見でここが中央アジア最大の唐代仏教寺院の大雲寺だと確信した」と語っている。
アク・ベシム遺跡はかつてはスイヤブと呼ばれ、シルクロードの交易都市として繁栄し、唐の軍事拠点である砕葉鎮城もあった。ソグド人の都市と唐の軍事拠点が隣接した都市遺跡である。
私にとっては、玄奘との関連が興味深い。玄奘がインドに行く途中に立ち寄った西突厥の可汗の拠点がスイヤブ(素葉城)だ。玄奘は可汗から多大な支援を受けることになり、その後の旅がスムーズになる。
私は昨年9月に新疆ウイグル地区のツアーに参加し、玄奘の足跡遺跡をいくつか見学した。あのツアーの前に『大唐西域記』や『大慈恩寺三蔵法師伝』に目を通し、玄奘関連の本をいくつか読み、玄奘の「にわかファン」になった。だから、本書収録の「玄奘が見たスイヤブ」(山内和也)はとても面白かった。
また、先日読んだ小説『天涯の戦旗:タラス河畔の戦い』の主人公である杜環が、本書収録の複数の論文に出てくる。知ったばかりの人物との再会に感激した。スイヤブ(砕葉城)に大雲寺があったとの記録を残したのは杜環だそうだ。
本書収録の論文のテーマは多岐にわたる。発掘品の研究に関しても、植物の種や動物の骨までも含んでいて多様だ。地球科学や医学を援用した研究もある。あらためて、遺跡の発掘調査という学問の壮大さを知った。
巻末には「アク・ベシム遺跡を活用した観光開発」というコラムも収録している。執筆者は元JICAの開発コンサルタントだ。アク・べシム遺跡は世界遺産に登録されているものの、多くの地元住民はその価値を知らず無関心だそうだ。見学者向けに整備されているわけでもない。どんな所なのか、訪問が楽しみである。
『アク・ベシム遺跡を掘る』(山内和也・齋藤茂雄編/勉誠社/2025.4)
キルギスのアク・ベシムは旧ソ連時代に発掘された遺跡だ。2016年からは帝京大学がキルギス科学アカデミーと共同で発掘調査を進めている。発掘調査の中心人物である帝京大学文化財研究所所長の山内和也教授らが編んだ本書は、論文・コラム二十数編を収録している。
アク・ベシム遺跡に関しては、先月(2026.5.16)の日経新聞社会面に「唐・武則天時代の寺か キリギスで階段見つかる」というニュースが載っていた。アク・ベシム遺跡にある寺院跡が、武則天が各地に建てた大雲寺と推測されていることは、本書収録のいくつかの論文が言及している。記事の眼目は階段の発見であり、山内教授は「この発見でここが中央アジア最大の唐代仏教寺院の大雲寺だと確信した」と語っている。
アク・ベシム遺跡はかつてはスイヤブと呼ばれ、シルクロードの交易都市として繁栄し、唐の軍事拠点である砕葉鎮城もあった。ソグド人の都市と唐の軍事拠点が隣接した都市遺跡である。
私にとっては、玄奘との関連が興味深い。玄奘がインドに行く途中に立ち寄った西突厥の可汗の拠点がスイヤブ(素葉城)だ。玄奘は可汗から多大な支援を受けることになり、その後の旅がスムーズになる。
私は昨年9月に新疆ウイグル地区のツアーに参加し、玄奘の足跡遺跡をいくつか見学した。あのツアーの前に『大唐西域記』や『大慈恩寺三蔵法師伝』に目を通し、玄奘関連の本をいくつか読み、玄奘の「にわかファン」になった。だから、本書収録の「玄奘が見たスイヤブ」(山内和也)はとても面白かった。
また、先日読んだ小説『天涯の戦旗:タラス河畔の戦い』の主人公である杜環が、本書収録の複数の論文に出てくる。知ったばかりの人物との再会に感激した。スイヤブ(砕葉城)に大雲寺があったとの記録を残したのは杜環だそうだ。
本書収録の論文のテーマは多岐にわたる。発掘品の研究に関しても、植物の種や動物の骨までも含んでいて多様だ。地球科学や医学を援用した研究もある。あらためて、遺跡の発掘調査という学問の壮大さを知った。
巻末には「アク・ベシム遺跡を活用した観光開発」というコラムも収録している。執筆者は元JICAの開発コンサルタントだ。アク・べシム遺跡は世界遺産に登録されているものの、多くの地元住民はその価値を知らず無関心だそうだ。見学者向けに整備されているわけでもない。どんな所なのか、訪問が楽しみである。
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