世界史をサカナの対談本を読んだ2026年03月18日

『世界史のミカタ』(井上章一・佐藤賢一/祥伝社新書/2019.11)
 ネット検索で井上章一氏と佐藤賢一氏の対談新書を見つけた。2年前に読んだ井上章一氏の『日本に古代はあったのか』はとても面白かった。佐藤賢一氏の著作は『歴史小説のウソ』を読んだばかりだ。この二人の対談なら面白そうだと思い、古書を入手した。

 『世界史のミカタ』(井上章一・佐藤賢一/祥伝社新書/2019.11)

 7年前に出た本である。世界史の見方に関する対談のテーマは多岐にわたるが、「世界史を作ったのは遊牧民」という話題が柱に思える。私はこの「見方」にすでに何度も接しているので、それを再確認する気分で読み進めた。

 井上氏の「おわりに――中央アジアから物を言う」で、井上氏の関心領域が私のささやかな関心領域に重なる部分が多いと確認でき、少し嬉しくなった。梅棹忠夫の『文明の生態史観』に圧倒的感銘を受けた井上氏は、それにあおられて、後藤明杉山正明林俊雄森安孝夫らの本によく目を通すそうだ。私もその一部を読んでいるが、内容の記憶はあやふやだ。彼らの著作をあらためて読み返したたくなった。

 フランス革命と明治維新が似ているという指摘に、ナルホドと思った。日本で「朝廷」という古めかしい権威を引っ張り出してきたのと、フランスで「三部会」という中世の仕組みを引っ張り出してきたのが似ているとの議論には驚いた。そんな見方があるのかと感心した。

 日露戦争は英国がしかけたという見方や、英仏にとって第一次大戦のインパクトが非常に大きかったとの見方も興味深い。英仏の第一次大戦の死者数は第二次大戦の死者数よりはるかに多かったと、本書で初めて知った。日本は第一次大戦で被害がなかった。それが、後の判断の誤まりの一因かもしれない。

 本書はロシアのウクライナ侵攻やコロナ禍以前の対談である。最終章「国民国家の次に来るもの」は決して楽観的ではないが、現在の視点で読み返すと、やや気楽な見通しに見えたりもする。この7年で世界はずいぶん変わったように思える。

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