復活途上の観光地……チュニジア紀行記(2)2019年12月04日

◎「アラブの春」以降、観光客は激減

 チュニジアは遺跡があるだけではなく、地中海のリゾート地でもある。また、南部はサハラ砂漠で、映画『スターウォーズ』のロケ地としても有名である。観光地として魅力的で、国も観光に力を入れている。

 しかし、2011年のジャスミン革命(「アラブの春」のきっかけ)とその後の混乱によって観光客は激減した。ジャスミン革命と呼ばれる民主化運動はベン・アリ独裁政権を倒したが、その後の国の運営は必ずしもうまく行っていない。

 ヨーロッパへの出稼ぎ労働者が送還されたこともあり失業率は高い。現在の国民の平均年収はベン・アリ時代より低いそうだ。治安はさほど悪くなく、観光客の数は戻りつつあるらしい。

◎さびれた観光地?

 チュニジアのいくつかの観光地では、かつてのブームが過ぎたさびれた観光地に迷い込んだ気分になった。観光シーズンではない11月に訪れたせいかもしれない。

 今回のツアーの訪問先には『スターウォーズ』ロケ地が二つあった。一つ目は第1作のロケ地で、砂漠の中にハリボテの住居が残っている。小さな売店も出ている。それなりの趣があり雰囲気は悪くない。だが、セットの近くに作られた共同トイレは悲惨な状態になっていた。誰かが「これなら、砂漠の中でする方がましだ」と言った。同感である。

 二つ目の『スターウォーズ』ロケ地は、第1作と第5作に使われた洞窟住居である。ガイドブックには、この洞窟住居はホテルになっていて、スターウォーズ・ファンの聖地だと書いていた。だが、そのホテルはすでに営業していない。ドミトリー式の小さなホテルだったが客が減ったため、現在は地元住民のバーになっているそうだ。
  
◎バルドー国立博物館の銃痕

 チュニスのバルドー国立博物館には立派なモザイク画が大量に展示されている。その壮観に圧倒されたが、ここには別の不思議なモニュメントがある。

 2015年3月、この博物館で銃乱射事件が発生し、日本人3名を含む22名の観光客が死亡した。博物館の前庭には犠牲者の肖像を描いた大きなモザイク画があり、入口付近には犠牲者の氏名と国籍を刻んだ慰霊碑がある。その脇には犠牲者の国の国旗10本が立っている。

 それだけではない。博物館の随所には銃痕がいまだにある。柱や扉の穴やガラスケースの亀裂の一部を修復せず、そのまま残しているのである。かなり生々しい。歴史的遺物なのかテロ抑止効果をねらっているのか、よくわからない。このような措置が観光客回復にプラスの効果があるかマイナスの効果があるかも、よくわからない。