来春『少女仮面』3本上演……唐十郎は古典か2019年11月13日

 来春、唐十郎の『少女仮面』が3本上演される

 (1)演出:杉原邦生/トライストーン/シアタートラム(1/24~2/9)
 (2)演出:天顔大介/metro/テアトルBONBON(2/19~2/24)
 (3)演出:天野天街/糸あやつり人形一糸座/ザ・スズナリ(5/27~5/31)

 紅テントの状況劇場がアングラの華だったのは約半世紀前、私が大学生の頃だった。唐十郎の作品は今も上演されることが多く、そのいくつかには足を運んでいるが『少女仮面』が異なる劇団で相次いで3本上演されるのには驚いた。(3)は人形芝居のようだが演出の天野天街は少年王者館の主宰者、只の人形芝居とは思えない。

 唐十郎の作品はアングラのまま古典になったように思える。『少女仮面』が岸田戯曲賞を受賞した1970年には、こんな時代が来るとは予想もしなかった。

 『少女仮面』は唐十郎が早稲田小劇場のために書き下ろした戯曲で、後に状況劇場でも上演したが私は観ていない。だが、岸田戯曲賞受賞直後に出版された戯曲は購入して読んだ。この本には舞台写真が載っていて扉の白石加代子が強烈だった。実際に舞台を観たのは1981年のパルコ劇場での公演で主演は渡辺えり子だった。

 唐十郎が「新劇」の賞である岸田戯曲賞を受賞したのは「事件」だった。その頃の様子を朝日新聞の演劇担当記者だった扇田昭彦氏が書いている(『新劇』1970年4月号)。その記事によれば、岸田戯曲賞が『少女仮面』と知った夜、芥川比呂志は宇野重吉に2回にわたって憤慨の電話をかけ、宇野重吉もその「憤慨」に同意していたそうだ。

 それから半世紀、『少女仮面』連続上演を草葉の陰から眺めて、かつての新劇の大御所たちはまだ憤慨しているだろうか。