スーパー歌舞伎Ⅱ『オグリ』は華やかなエンターテインメント2019年10月28日

 新橋演舞場でスーパー歌舞伎Ⅱ『オグリ』を観た。予想通りに華やかでケレンに満ちたエンターテインメント芝居だった。

 スーパー歌舞伎を観るのは2回目である。と言っても最初に観たのは、1986年のスーパー歌舞伎第一作『ヤマトタケル』だから33年ぶりである。33年前は今よりは金も時間も乏しかったので、かなり気合を入れてチケットを購入した。上演時に刊行された梅原猛の戯曲『ヤマトタケル』も購入した。

 いま、この本を開いてみると巻末に梅原猛と市川猿之助(もちろん先代。三代目)の対談が載っている。その冒頭に「猿之助は歌舞伎界における梅原猛であり、梅原は学界における猿之助である」と桑原武夫が述べたという話が出てくる。コピーライターの才を自認していた桑原武夫らしい至言である。

 33年の月日が流れ、猿之助は四代目に替わりスーパー歌舞伎はスーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)にバージョンアップした。『オグリ』も原作は梅原猛だそうだが、舞台の様相はかなり変わっている。想像した以上に斬新な舞台だった。

 舞台のホリゾントの基本は全面鏡張りである。舞台上の役者の後ろ姿が見えるだけでなく観客席も映っている。ここにプロジェクションマッピングで多様な映像が投影される。また、本物の水や噴水も登場する。宙乗りは客席左右同時両宙乗りである。フィナーレは華やかで楽しく、カーテンコールもある。サービス精神あふれる舞台である。

 『オグリ』とは説経節で語り継がれた小栗判官という伝説上の人物で、浄瑠璃や歌舞伎にもなったそうだ。私は今回の観劇まで、説経節も小栗判官も知らなかった。『オグリ』のおかげで少し知識が増えた。梅原猛が関心を抱きそうな題材だと思った。今回の芝居では、閻魔大王が哲学者・梅原猛に言及するシーンがある。これも楽しいサービスである。