ギリシア悲劇は神話世界を構成するひとつの要素2019年10月13日

『ギリシア悲劇Ⅱ ソポクレス』(ちくま文庫)
 今週、シアターコクーンで海老蔵主演の『オイディプス』観劇予定なので、泥縄気分で次の本を読んだ。

 『ギリシア悲劇Ⅱ ソポクレス』(ちくま文庫)

 ギリシア悲劇は今年6月に読んだ『ギリシア悲劇Ⅰ アイスキュロス』に続いて2冊目で、少し慣れてきたせいか意外に面白くスラスラと読了できた。

 ソポクレスはアイスキュロスの約30年後の人でヘロドトスと同時代人である。100編以上の劇を書いたそうだが、完全な形で残っているのは本書に収録されている以下の7編である。

 アイアス
 トラキスの女たち
 アンティゴネ
 エレクトラ
 オイディプス王
 ピロクテテス
 コロノスのオイディプス

 とりあえず「オイディプス王」だけを読めばいいかと思って、最初にこの作品を読んだが、それでは物足りず他の6編も読んでしまった。

 「アンティゴネ」「コロノスのオイディプス」はオイディプス王に関連した話である。「エレクトラ」はアイスキュロスの「オレスティア」に関連している。

 ギリシア悲劇はソポクレスやアイスキュロスなど劇作家によるまったくの創作ではなく、当時の人々が共有していたであろう伝承・伝説・神話を題材にした作家独自の切り口の舞台表現である。だから、ホメロスの叙事詩やギリシア神話などをある程度知っていないと、その演劇世界に入り込むのが難しい。

 私は「イリアス」や「オデッセイ」は子供向けの簡略なものを中学生の頃に読んだだけで、その記憶もおぼろである。それでも本書を楽しめたのは、ネットで手軽に神話や伝説の人物や事件を検索できるからである。

 ギリシア神話に関しては昨年数冊の本を読み、そのゴチャゴチャと込み入った森のような世界にいささか呆然としたことがある。考えてみれば、ギリシア悲劇そのものが神話や伝承を構成する要素のひとつなのである。神話的世界を表現する最適の方法が演劇だったと思う。

 ソポクレスの劇にも女神アテナ、ヘラクレスなどが登場人物の一人として舞台に現れるし、登場人物がさまざまな神の名を口にするシーンが多い。そんな神の中で、しばしば言及されるのがエリニュス(復讐の女神)である。エリニュスの存在感が大きいのが「悲劇」の由縁かもしれない。

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