『ティムール』を読んでテュルク化・イスラム化を感得2019年07月28日

『ティムール:草原とオアシスの覇者』(久保 一之/世界史リブレット人/山川出版社)
 山川出版の「世界史リブレット」は半日足らずで読了でき、世界史の断片的知識の肉付けに重宝している。『オアシス国家とキャラヴァン交易』(荒川正晴)に続いて次の冊子を読んだ。

 『ティムール:草原とオアシスの覇者』(久保 一之/世界史リブレット人/山川出版社)

 ソグド人の出身地ソグディアナあたりのその後の物語である。ソグド商人がシルクロードで活躍したのは第1千年紀(10世紀まで)で、その後、13世紀、14世紀の中央アジアはチンギス=ハンとその子や孫が支配する時代になる。ソグディアナはチンギス=ハンの次男の名を冠したチャガタイ・ハン国の一部になる。

 そこに登場するのがティムールで、彼が興したサマルカンドを中心としたティムール朝(1370~1500)は、15世紀には広大な大帝国になる。

 チャガタイ家の家臣の出身であるティムールは、チンギス=ハンの血を引く人物を名目上のハンに戴いて領土を拡大し、やがては自身がチンギス・ハンの血統であるかのように名乗る。テュルク化(トルコ化)し、イスラム化しても、依然としてチンギス=ハン家の権威とモンゴルの伝統が残っているのが興味深い。

 とは言え、テュルク化・イスラム化という大きな変動には驚かざるを得ない。チンギス=ハンとティムールの生年には約170年の隔たりがある。ティムールから見たチンギス=ハンは、昭和生まれの私から見ると江戸時代に活躍した滝沢馬琴、大塩平八郎らの感じだ。ずいぶん昔と感じるか、さほどでもないと感じるかは人それぞれだろう。

 170年という時間で言葉も宗教も変わり、文化は大きく変容したのである。人の世の可塑性はたいしたものだと思う。

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