歴博の第1展示室(先史・古代)の人形は異様にリアル2019年07月12日

 千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館に行った。じっくり見るならとても一日では回り切れない。膨大な展示物に圧倒された。展示室は次の6つである。

 第1展示室 先史・古代
 第2展示室 中世 
 第3展示室 近世
 第4展示室 民俗
 第5展示室 近代
 第6展示室 現代

 現物展示もあるが、模型やジオラマも多い。巨大な歴史図鑑である。それぞれの展示物の説明を読みながら歩いていると一つの展示室だけで疲労困憊してしまう。だから、大半の展示物はザーッと見ただけだ。

 中世の展示室で写経生の姿(右下の写真)に接したのには感動した。最近読んだ『天平の時代』 (栄原永遠男/集英社版日本の歴史4)に描かれていた写経生の生活が印象深く、彼らに感情移入していたからである。写経生の人形の背景には「待遇改善要求」の説明漫画も掲示されている。歴史概説書で抱いたイメージが眼前に現出したので驚いた。

 ただし、この写経生のマネキン風人形は顔も手も黒で表情がない。それでも雰囲気は伝わってくるが、もっと踏み込んでリアルな様を演出してほしいと思った。

 と言うのは、今年3月にリニューアルした第1展示室「先史・古代」の人形が異様にリアルで(左下の写真)、その迫真性に惹きつけられたからである。人形が生身の人物に見え、縄文時代の集落に迷い込んだ気分になり縄文の空気が肌で感じられる。

 この手の展示物の人形の出来栄えなどあまり気にしていなかったが、精緻でリアルな人形に独特の効果があると実感した。だから、中世の写経生の人形に生身の人間の表情があれば、中世の下級ホワイトカラーの生活がより身につまされて伝わると思った。それが、歴史のねつ造につながるかどうかはよくわからないが。