日本の「貧者のサイクル」に古代ローマの奴隷制を連想2019年03月20日

 昨日の日経新聞1面トップの「賃金水準 世界に劣後」という記事は衝撃的だった。

 日本の時給は過去20年間で9%減少し、最低賃金は台湾や韓国より低くなっているそうだ。格差拡大で時給ベースで働く人の賃金が伸び悩んでいるとは聞いてはいたが、ここまで悪化しているとは知らなかった。

 コンビニや外食チェーンなどでは留学生アルバイトとおぼしき外国人を多く見かけるが、日本の賃金が外国人労働者を惹きつける時代は終わりつつあるのだろうか。

 この記事によれば、低賃金が持続しているため、そのような仕事の生産性が向上せず、付加価値の高い仕事への転換も遅れて「貧者のサイクル」ができているという。

 日本の生産性について次のような記述もある。

 「なぜ生産性が上がらないのか。逆説的だが、日本の企業が賃上げに慎重な姿勢を続けてきたことが生産性の低迷を招いたとの見方がある」

 これを読んで、本村凌二氏の『教養としてのローマ史の読み方』のなかの一節を想起した。ローマの奴隷制度がイノベーションの遅れを招いたとの指摘である。蒸気機関の原理は古代ローマの時代にすでに知られていたが、それが産業革命につながらなかったのは、奴隷労働への依存に自足していたためイノベーションへのインセンティブがなかったからである。それがローマの経済衰退の一因だという。

 現代日本がローマ衰退の後追いをすることがないよう、知力と胆力のある人材の輩出を期待するしかない。

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