歌舞伎では生首は日常的な小道具2019年02月23日

 二月大歌舞伎の昼の部・夜の部を通しで観た。演目は以下の通り。

 昼の部
 (1)義経千本桜・すし屋
 (2)暗闇の丑松
 (3)団子売
 夜の部
 (1)熊谷陣屋
 (2)富年祝春駒
 (3)名月八幡祭

 メインディッシュは定番の「義経千本桜・すし屋」(いがみの権太:松緑)と「熊谷陣屋」(熊谷次郎直実・吉右衛門)で、いかにも歌舞伎だなあという気分で鑑賞した。両方とも生首が大きな役割を果たしている。生首を小道具として日常的に扱う歌舞伎は、やはりヘンテコな芝居かもしれない。

 舞踊演目には少し退屈することもあるが、今回の「団子売」と「富年祝春駒」はどちらも祝祭的な華やかさを堪能できて面白かった。

 二月大歌舞伎は33年前に40歳で亡くなった尾上辰之助の追善狂言で、息子の松緑、孫の左近が出演している。私は尾上辰之助の舞台を観たことはない。

 「名月八幡祭」は、かつて尾上辰之助が孝夫(現・仁左衛門)、玉三郎と共演したものを三十数年ぶりに仁左衛門、玉三郎は同役、辰之助に替わって松緑で演じたものだそうだ。昔の舞台は知らないが、仁左衛門、玉三郎には三十数年前を彷彿させる色気があり、年齢を超越する歌舞伎役者の凄さを再認識した。