映画『家に帰ろう』で人それぞれの70年を考えた2018年12月26日

 シネスイッチ銀座でアルゼンチン映画『家へ帰ろう』を観た。広い意味でナチス・ヒトラー関連の映画だが、シンプルな作りの好感の持てる映画だった。

 アルゼンチン在住の仕立屋の爺さんが主人公で、この爺さんは1945年にポーランドから逃げて来たユダヤ人である。昨年、私はポーランド旅行をしアウシュヴィッツにも行ったが、第二次大戦を体験したユダヤ人にとってドイツやポーランドが特殊な場所だということを再認識させられる映画だ。

 主人公の爺さんは少年時代にナチス支配下のポーランドで迫害され、父や妹を失いながらも、ポーランド人の友人に助けられてアルゼンチンに亡命する。それから70年、娘や孫に囲まれた生活から老人ホームへの入居をひかえた爺さんは、突如ポーランド目指して旅立つ。70年前の1945年に分かれた友人に自分が仕立てたスーツを届けに行くのである。

 つまりはアルゼンチンからポーランドまでのロードムービーであり、娘たちに裏切られてさまようリア王の要素も入っている。

 フィクションではあるが、70年間会っていない旧友に会いに行くという設定に感動した。私は現在70歳であり、10年~50年ぶりの旧友との再会は想像できるが70年はあまりに長い。でも、それもありと思えてくる。

 ナチスの時代以前のポーランドには多くのユダヤ人が住んでいたが、現在は非常に減少している。そんな近代史の実情もこの映画から伝わってくる。

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