仲代達矢・85歳、まだまだ元気だ2018年04月03日

 世田谷パブリックシアターで無名塾の公演『肝っ玉おっ母と子供たち』を観た。主演の「おっ母」は85歳の仲代達矢が演じている。ほとんど出ずっぱりの長丁場で、歌ったり踊ったりもする。科白もよく通る。その元気な姿に感銘した。

 私はブレヒトのこの高名な芝居を観るのは初めてだ。観ていなくても内容は何となく知っていて、特に観たいとは思わなかった。『三文オペラ』や『ガリレオの生涯』ほどに興味をもてなかったのは、タイトルと粗筋だけで内容が透けて見え、あえて観なくても舞台で展開される世界が想像できる気になっていたからだ。

 今回、観劇しようと思ったのは高齢の仲代達矢が主演と知ったからだ。失礼ながら、これが仲代達也を舞台で観る最後のチャンスかもしれないと考えたのだ。その演目が未見の『肝っ玉おっ母と子供たち』なのも宿題をこなすいい機会に思えた。

 仲代達矢が女性を演ずるのに少し驚いた。上演パンフで知ったが、この舞台の初演は30年前の1988年で、そのときも仲代達也が「おっ母」を演じている。演出は隆巴(宮崎恭子:仲代達矢の妻)で、彼女はその8年後に亡くなる。今回の公演も演出は隆巴となっている。30年前の初演を踏襲しているのだろう。

 名優が何でも演じられるのは当然で、仲代達矢の老婆役に違和感はまったくなかった。また、観なくてもわかった気になっていた芝居も、実際に舞台で観ると引きこまれ、ブレヒトの代表作と言われるのもむべなるかなと思った。

 17世紀の三十年戦争の世界の12年間を行商の幌車を引いて戦場を巡り歩く「肝っ玉おっ母」の姿で描く方法は、やはり秀逸だ。戦争と庶民の普遍的な様を抽出しているのは確かで、ブレヒトの才を感じさせられた。

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