「筒井康隆自作を語る#4」に行った2017年11月13日

「筒井康隆自作を語る#4」のポスター、『筒井康隆コレクションⅦ 朝のガスパール』(日下三蔵・編/出版芸術社)
 11月12日、『筒井康隆コレクション』(全7巻)完結を記念したトークイベント「筒井康隆自作を語る#4」に行った。会場で、予約していた『筒井康隆コレクションⅦ 朝のガスパール』(日下三蔵・編/出版芸術社)も入手した。

 83歳の筒井康隆氏は元気で、今も文芸誌に短編小説を発表している。この調子で行けば、まだ何冊も新作(短編集。ひょっとした長編も)が出そうだ。

 あい変わらずの軽妙で知的なトークだが、最後(?)の長編『モナドの領域』は、神を登場させることで「神は存在しないということを書いた。だから最後の小説だ」との述懐に明晰な作家精神を感じた。近作短篇は耄碌ハチャメチャ作風だが、約20年前からあえて「老人」を演じているとポロリと語るところにこの作家のエネルギーを感じた。

 筒井康隆氏は短編も長編もたくさんあり、どれもが独特の傑作であり、どれが一番かは読者も判断に迷う。自ら「代表作がない作家」と語り「このままでは『時をかける少女』の作家と記憶されそうだ。それでもいいのだが…」とつぶやく姿が印象的だった。代表作と思える作品が多すぎる作家なのだ。

 『筒井康隆コレクション』(全7巻)はメインの作品の他に落穂ひろい風にレアな文章を収集収録しているのが魅力だ。今回入手した第7巻には、1966年に発行された「SF新聞 創刊号」に載った「SFを追って」が収録されていた。私はこの「SF新聞 創刊号」を発行当時購入し、その後も大事に保管してきたはずなのだが、いつの間にか紛失してしまった。「SFを追って」を読み返し、往時の記憶が懐かしくよみがえってきた。