IFではなくWHEN --- 人工光合成への期待2010年11月30日

根岸英一氏(2010.11.25)
 ノーベル化学賞受賞者根岸英一氏が日本記者クラブで会見した。私は有機化学に関しては門外漢で、今回の受賞の研究内容もよくは理解できていないが、一般人を対象にしたお話だったので、とても面白く聞くことができた。

 根岸英一氏は非常にアグレッシブな方で、元気の出る話だった。特に興味深かったのは人工光合成の話だった。
 根岸氏には「過去のテーマ」と「現在のテーマ」の他に、自身へのチャレンジとしての「未来のテーマ」があるそうだ。ノーベル賞受賞の対象になったのは、もちろん「過去のテーマ」であり、人工光合成は未来のテーマである。

 私は人工光合成についてよく知らなかったが、根岸氏が熱く語るの聞いて、つい引き込まれた。光と炭酸ガスと水から有機化合物を作る光合成は、自然界で植物が日常的に営んでいる。これを化学工業化できれば、エネルギー問題や地球環境問題への画期的な解決策になる可能性があるそうだ。
 人工光合成の研究のポイントは根岸氏の専門分野である触媒であり、鉄などの遷移金属触媒が利用できる可能性が高いそうだ。

 根岸氏は、日本は人工光合成の研究に優秀な人材を投入するべきだと主張し、その実現についてはは「IFではなくWHEN」の問題だと語った。

 私も、この分野に注目しようと思った。そして、『日経サイエンス』の最新号(2011年1月号)を見ると「人工の葉で水素燃料」というタイトルの人工光合成に関する翻訳記事が載っていた。 何となくソワソワしてくる。